不妊に悩む○○さんが不安そうな顔で来られました。冷凍保存してあった受精卵を身体に戻してはどうか？との連絡がクリニックから来たのでご主人に相談したところ「移植を試して欲しい」との答えだったので移植のための治療を受けたが着床せず、医師からは「原因不明の拒絶反応が出ている」と指摘されショックを受けたとの事でした。

彼女曰く「移植のための薬を飲んだり、お腹にホルモン剤と思われる貼り薬を使ったが体調が悪くなり、お腹は以前の様に硬くなってしまい生理の血も黒く汚れてしまった」と残念そうな表情で話していました。

今までご縁のあった不妊女性には無かったケースでしたので、こちらとしてもどの様に対応して良いものか解かりません。とにかく調整しながら彼女の状態を調べるしかありません。

結果的にはお腹の硬さも背中の状態も、彼女が心配していた程ではなく一安心しました。やはり精神的なショックで一時的に身体が緊張したのでしょう。こうした変化は一過性のもので直ぐに改善するのが一般的だと感じています。

私は昼休みを利用してその【拒否反応】についてネットで情報を集めてみましたが、配信している人の立場で見解がマチマチでどの情報が正しいのか判断する事は出来ませんでした。

問題は受精卵か子宮内膜か

先ほども書きましたが、母胎の拒絶反応と聞かされた彼女は大きなショックを受けたそうです「それじゃあ私は絶対に赤ちゃんを産めない！」と思ってしまったそうです。医師の言葉にはそれほどの重みがあるのです。

しかし彼女は自然療法で生理もキレイになっていたし、基礎体温も理想的なグラフ曲線だったのに、病院の薬を飲んでからは体調も悪くなり生理も以前の悪い状態に戻ってしまった事で、もう一度最初から体質を改善させようという前向きな気持ちになったと話してくれました。

よくよく考えてみれば冷凍保存されていた卵はグレードは高いと伝えられていたものの、体質が悪かった頃に採卵し培養した卵だったという事を思い出したとも話していました。

この気付きこそ大切だと私は感じています。数値的には問題のないハイレベルな卵であっても科学的なホルモンで強制的に採卵した卵なのです。身体から自然に分泌されたホルモンにより自然に成長した卵ではありません。数字はあくまでも数字であって確実な物ではありません。

化学療法と自然療法の融合

私は偶然にも彼女に「冷凍保存している卵があれば移植してはどうか」と話そうとしていました。こちらに来ている人で、2年前に保存してあった卵を戻して妊娠した女性が出たからです。

卵のストックがあるのであれば無理に自然妊娠に拘る必要も無いのでは？との考えたからです。体外受精や顕微授精は優れた治療法であることは間違いないと思います。

しかし体質が悪く元気な卵子や精子ではないと判断すれば、血流を改善させ身体を元気にさせた状態で臨む必要があると思えてなりません。

それでも現実には多くの女性は悪い体質のまま、化学的な手法による妊娠を望みます。一日も早く妊娠したいとの焦りから手っ取り早い手段を選択しようとします。

しかも悪い体質のまま何回も同じ事を繰り返すといった、肉体的にも経済的にも負担の大きい治療を続ける女性が多いのです。良い結果が出る確率は非常に低いのですが・・・。

隠し事の無い関係を築きたい

私は治療家として最近になって強く感じる思いがあります。それは不妊で通われている女性には隠し事が多いという事です。

最初の頃には別の症状で来られていて、たまたま不妊も解消してしまった。といった症例からが不妊ケアのスタートでした。体外受精の経験も無い軽度な人達だったのです。

しかしネット配信により、重度な不妊体質の方の来院が増えたことで、以前には無かった隠し事が増えてしまったのです。

悩みが深い分だけ話したくない部分も多いのでしょう、どことなく疑心暗鬼なオーラが出ています。こうした人間関係では良い結果も出にくいものと感じています。

どうしたら良いのでしょうか？これからの私自身のスタンスを改善しなければならない時期に来ている事をヒシヒシと感じています。