アトピー体質・寝汗と自律神経の失調
寒い夜でも寝汗をかいてパジャマが濡れる
現在ケア途中の男性の例をとって、寝汗と自律神経の関係について考えてみます。
この男性は幼児からのアトピーで苦しみ、現在は休職中で週に1回のペースで通われています。全体的に乾燥タイプの重度のアトピーです。
彼は寝汗が出る事に不快感を持っています。寒い日でもパジャマが濡れてしまうほどの汗により身体が冷えてしまう・・・といった悩みを抱えています。
通常の汗は排泄の作用で喜ばしい事ではありますが、寝汗は少し性質が違うと考えなくてはなりません。
寝汗はどうして出るのか
寝汗の正体はズバリ自律神経の乱れが原因だと考えています。交感神経の作用で体内の水分を絞り出していると考えれば納得できます。
彼の乾燥肌は寝汗によって作られると考えても良いと思います。体内の水分を過剰に排出させてしまうから乾燥肌になってしまいます。当然ですが質の良い睡眠はできません。
交感神経は緊張モードですので、細胞を締め付ける作用があります。濡れたスポンジを絞ると水が出ますが、あの状態が身体全体に起きていると考えれば納得できるでしょう。
腎臓が体内毒素や老廃物をフィルターにかけて排泄させる通常の汗とは少し性質が違うのです。解毒力のある汗であったなら彼がアトピーで苦しむ事などありません。
偶然に見つけた対処法
私は現在、ある実験をしています。身体のある部分に刺激を与えて脳下垂体や視床下部の働きを活発にさせてみようとする試みです。
ある女性にその手当を施したところ「痒みで眠れない日が続いていたが、その晩から3日間は痒みが治まってぐっすりと眠れた」との報告がきっかけでスタートしました。
これは脳下垂体の働きが活発になり、副腎刺激ホルモンが分泌されて今まで出されていなかった副腎皮質ホルモンによる効果であると感じています。天然無害なステロイドが皮膚の炎症を鎮めてくれた結果であると考えています。
当然ですが彼にも同じ手当をして痒みの軽減がされるのかを実験してみました。結果として痒みには大きな変化は無かったものの、寝汗が減ったという予想外の成果が出たのです。
なぜ寝汗が減ったのか?
先ほどは女性の例で脳下垂体と副腎皮質ホルモンの話をしましたが、今度は視床下部と自律神経の話になります。
知っての通り自律神経は身体の全てを制御していますが、その司令塔が視床下部です。この働きが不健康であるならば俗にいう自律神経失調症となってしまいます。
今回の彼の寝汗は自律神経の失調状態が原因でした。それは彼も自分なりに気付いていたそうですが、その対処法がわからなくて苦労していました。
しかし、今回の痒みを止める目的で施した手当が偶然にも効果が出てしまった訳です。私にとっても大きな収穫なのです。
アトピー・ケアの指針の見直し
今回の偶然に発見した手当法は当院のアトピー・ケアに大きな変化を起こすと感じています。今までは、とにかく解毒をさせて体内環境を整える事を大切にして来ました。
免疫が高まり、その過程で激しい改善反応が出てしまう場合もありましたが、それは仕方のない事と割り切ってもいました。
しかし、今回の偶然に出会った手当法でそうした苦しさも緩和させながらのアトピー・ケアが確立できるのではないかと感じています。
現時点では実験中なので詳しく書くことは控えますが、解剖学的に考えても有意義な手当てであるとの思いがあります。